※本記事のニュース・統計部分は警察庁の発表、費用の実例部分は埼玉県の公式ページ、保険の補償内容はYAMAP公式サイトをもとにした情報整理です。情報確認日:2026年9月23日
「山で動けなくなったら、本当に助けに来てくれるの?」「山岳保険って入ったほうがいいの?」
結論から言うと、日帰りの低山であっても山岳保険には入っておくべきです。ヘリが来ない、来ても時間がかかる、費用が実費でかかる場合がある——この3つが、遭難したときの現実だからです。
この記事では、まず遭難したときに実際何が起きるのかを統計と実例で整理し、そのうえで筆者自身が加入しているYAMAPの登山保険を例に、山岳保険の補償内容を見ていきます。
山岳遭難の現実|統計で見る「今」
警察庁の発表によると、2025年の山岳遭難は発生件数3,122件・遭難者数3,623人で、いずれも統計開始以来の過去最多を更新しました。前年からは発生件数で176件、遭難者数で266人増えています。
- 死者・行方不明者:332人(前年比32人増)
- 負傷者:1,480人(前年比90人増)
- 都道府県別では長野県が358件で最多、北海道199件、山梨県192件と続く
- 外国人の遭難も発生件数174件・246人で、統計開始以降の最多を記録
遭難者のうち無事に救出されたのは約半数で、約4割が負傷しての救出、残り1割弱が死亡・行方不明という内訳です。「自分は大丈夫」を裏付ける数字ではありません。
(出典:nippon.com「2025年の山岳遭難:遭難者数は3623人と過去最多に」、警察庁の発表をもとにした記事)
ヘリが来ない・来ても時間がかかる理由
- 天候・視界が悪いと、そもそも飛べない。ヘリは有視界飛行が基本で、悪天候・夜間は出動できないことが多い
- 出動できても、現場到着まで時間がかかる。ヘリの拠点から現場までの距離、他の出動要請との兼ね合いで、早くて1〜2時間、状況によってはさらにかかる
- 夜は原則飛べない。日没後の要請は、翌朝まで捜索・救助が持ち越されることがある
つまり「動けなくなったら、すぐ助けが来る」という前提は成り立ちません。動けるうちに自力で安全な場所まで移動する、日没前に行動を終えるといった判断が、ヘリを待つより先に来ます。
救助は無料とは限らない|埼玉県の例
「救助はどうせ税金で無料」というのも、地域によっては誤りです。埼玉県は2018年1月1日から、防災ヘリコプターによる山岳遭難の救助に手数料を導入しています。2024年4月からは、飛行時間5分ごとに8,000円に改定されました。対象は県内の指定された6山域です。
林業などの業務従事者、人命救助中の人、山小屋の運営者などは対象外(免除)になるほか、自然災害による遭難や生活保護受給者などは、申請により減免される場合もあります。
民間ヘリを要請した場合は、さらに高額になります。防災ヘリは公的機関の出動なので前述の手数料(または無料)で済みますが、山小屋や本人・家族の判断で民間ヘリ会社に直接依頼すると、実費(フライト時間に応じた料金)がかかります。
だから山岳保険が要る|YAMAPの登山保険を例に
筆者はYAMAPが提供している登山保険に加入しています。YAMAPは現在、2種類の保険を提供しています。

| プラン | 正式名称 | 遭難捜索費用 | ケガの補償 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 山歩(さんぽ)保険 | 歩行距離連動型保険料適用特約付き傷害保険 | 最大300万円 | 最大30万円 | 保険料が歩いた距離に応じて決まる。当日加入も可能 |
| 外あそびレジャー保険 | 総合傷害保険(2026年8月以降) | 最大300万円(親族駆けつけ費用含め最大30万円) | 最大30万円 | 登山以外のアウトドア・日常のケガも対象。家族プラン全体で最大1,500万円 |
引受保険会社は、いずれも株式会社ヤマップネイチャランス損害保険(取扱代理店:株式会社ヤマップ)です。山歩保険は歩行距離に応じて保険料が決まる登山者向けのプラン、外あそびレジャー保険は登山以外の屋外活動や日常のケガも対象にした総合的なプランという違いがあります。いずれもアイゼン・ピッケルを使う雪山登山やクライミングも、追加保険料なしで補償対象になるとされています。
YAMAPの保険には、加入者が遭難した際にYAMAPアプリのユーザーへ目撃情報を募り、捜索をサポートする仕組みも付いています。ユーザー数の多いアプリだからこそ成立する、YAMAPならではの特徴です。
登山者目線の判断|日帰り低山でも入るべき理由
ここからは公式の事実ではなく、筆者の考えです。
- 「日帰りだから」「低山だから」は、入らない理由にならない。統計を見ても、遭難は特別な山だけで起きているわけではありません
- 費用面のリスクをつぶすなら保険、命に関わる部分は装備と判断。ヘリが来ない・時間がかかるという問題そのものは保険では解決しません。動けるうちの判断と装備が先で、保険はその先の費用リスクに備えるものです
- 山行のたびに入るか、年間で入るかは、行く頻度で決める。月に何度も登るなら年間プラン、たまにしか登らないなら都度のプランが向いています
登山の安全対策5つでは、遭難そのものを避けるための安全対策をまとめています。あわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 山岳保険は日帰り登山でも必要ですか?
A. 必要です。統計上、遭難は特定の山や日数に限りません。低山・日帰りでも、動けなくなれば同じように救助と費用の問題が発生します。
Q. 登山保険と生命保険・医療保険は何が違いますか?
A. 一般的な医療保険は、遭難時の捜索費用(民間ヘリ代など)までは補償しないことが多いです。山岳保険・登山保険は、この捜索費用に特化して備えるための保険です。
Q. YAMAPの山歩保険と外あそびレジャー保険、どちらを選べばいいですか?
A. 登山メインで、歩いた分だけ保険料を払いたいなら山歩保険、登山以外のアウトドアや日常のケガまで幅広くカバーしたいなら外あそびレジャー保険が向いています。
Q. 救助はどこでも有料なのですか?
A. いいえ、地域によります。埼玉県のように防災ヘリの出動に手数料を設けている自治体がある一方、長野県・富山県のように有料化を見送った自治体もあります。ただし、民間ヘリを要請した場合は、公的機関の手数料とは別に実費がかかります。
Q. 保険に入っていれば、ヘリはすぐ来ますか?
A. 来ません。保険は費用の補償であって、天候や夜間による出動制限そのものを変えるものではありません。動けるうちに安全な判断をすることが、保険より先にできる対策です。
まとめ
- 2025年の山岳遭難は発生件数3,122件・遭難者数3,623人で過去最多(警察庁)
- ヘリは天候・夜間で飛べないことがあり、出動できても現場到着まで1〜2時間以上かかることがある
- 埼玉県は防災ヘリの山岳救助に手数料を導入(2024年4月〜5分8,000円)。民間ヘリはさらに実費がかかる
- 日帰り・低山でも、山岳保険には入っておく
- YAMAPは「山歩保険」(歩行距離連動)と「外あそびレジャー保険」(総合傷害保険)の2種を提供。いずれも遭難捜索費用は最大300万円
- 保険は費用の備え。動けるうちの判断と装備が、その前提として必要
【情報源】nippon.com(警察庁発表をもとにした記事)/埼玉県「防災ヘリコプターの救助活動に係る手数料」/YAMAP登山保険公式サイト/山歩保険/外あそびレジャー保険(いずれも2026年9月23日確認)


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