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「高妻山って、百名山の中でもきついって聞くけど実際どうなの?」
結論から言うと、噂どおり、いやそれ以上にきつい山でした。周回約13km・行動時間9時間半の体力勝負に加えて、雨上がりは濡れた鎖場の危険度が一気に跳ね上がります。
2026年6月21日、男3人で高妻山に日帰りで挑戦してきました。一日中霧の中、山頂の展望はゼロ。それでも「行ってよかった」と全員が言い切れる、忘れられない山行になりました。
この記事では、当日のリアルなタイムラインと「ここが本当にきつかった」というポイント、そして雨上がりの鎖場でヒヤッとした体験を正直にまとめます。これから高妻山を計画している方が「自分でも行けるか」を判断する材料になれば嬉しいです。
当日の様子はYouTubeにもまとめています。霧の中の鎖場の緊張感は、動画で見てもらうのが一番伝わると思います。
高妻山の基本情報|「戸隠連峰の最高峰」は伊達じゃない
まず前提の共有です。高妻山は長野県(戸隠エリア)にある標高2,353mの日本百名山で、戸隠連峰の最高峰。「戸隠富士」とも呼ばれる端正な三角形の山です。
- 登山口:戸隠キャンプ場(戸隠牧場)
- コース:弥勒尾根新道で登り、一不動(鎖場側)経由で下る周回(約12.9km)。私たちもこの周回でした
- 標準コースタイム:周回9時間前後
- 累積標高差:約1,480m
- 核心部:弥勒尾根の急登(登り)、滑滝(なめたき)の鎖場と帯岩(おびいわ)のトラバース(下り)
- 注意点:日帰りは早出必須。エスケープルートがほぼ無い
数字だけ見ると「ちょっと長い日帰り登山」に見えますが、高妻山のきつさは数字に出ない部分にあります。それは後述します。
当日のタイムライン|朝の牧場から、霧の10時間が始まった
私たちの実際の行動記録です(2026年6月21日・梅雨の晴れ間のはずが一日霧)。登りは弥勒尾根新道、下りは一不動経由の周回で歩きました。
- 8時すぎ:キャンプ場前駐車場を出発。戸隠牧場の中を抜けて弥勒尾根新道へ
- 午前中は急登との勝負:弥勒尾根は「垂直に近い」と言いたくなる急登の連続。前日までの雨で足元は滑る。ブナ林の足元にはギンリョウソウ(銀竜草)。真っ白で幽霊みたいな花です
- 10時33分:五地蔵山。霧で視界は真っ白。このあたりからウラジロヨウラクやゴゼンタチバナなどの高山植物、木の枝には「サルオガセ」という霧を吸って育つ地衣類。霧の日ならではの幻想的な森でした
- アップダウン地獄:五地蔵山から山頂までは六弥勒〜十阿弥陀と祠を数えながら、小ピークの登り返しが延々と続く
- 最後の急登:山頂直下は岩がゴロゴロの急斜面。ここが体力的な正念場
- 12時14分:高妻山山頂(2,353m)に登頂。展望は…完全にゼロ!それでも3人で笑って記念撮影。霧が晴れないか粘りつつ昼休憩、13時すぎに下山開始
- 14時13分:五地蔵山に登り返す。下山は来た道ではなく一不動方面へ
- 15時12分:一不動避難小屋。ここから沢沿いの下りが始まる
- 15時57分:核心の帯岩トラバースと鎖の下り(詳細は次章)
- 16時10分:滑滝を通過。前日までの雨で、登山道はまるで増水した渓流でした
- 17時26分:駐車場に帰着。活動時間9時間26分(距離12.9km・累積標高約1,480m)
GPSログや標高グラフはYAMAPの活動日記で公開しています。ほかの山行記録はYAMAPアカウント(cow)からどうぞ。


高妻山が「きつい」と言われる本当の理由3つ
登ってみて分かった、高妻山のきつさの正体です。
1. 弥勒尾根の急登と、終わらない登り返し
登りに使った弥勒尾根新道は、「垂直に近い」と言いたくなる急登が延々と続きます。木の根を掴んでよじ登るような区間もあり、稜線に出るまでに脚をかなり使わされました。
そして稜線に出ても山頂は遠い。小ピークを越えるたびに下って登り直しで、霧で先が見えないぶん「まだ着かないの?」が延々と続きます。しかも下山でも五地蔵山への登り返しが待っている。下山なのに登らされるのが精神的にきつい。
2. 雨上がりの鎖場は難易度が別物になる
下山で使った一不動側のルートには、水が流れる一枚岩「滑滝」と、崖の途中を鎖で横切る「帯岩」のトラバースがあります。前日までの雨で沢は増水し、登山道はまさに渓流の中。岩も鎖もずっと濡れていて、握力と集中力の消耗が倍増します。
特に危なかったのが、疲労がピークの下山時(15時台)に、この日初見の鎖場を通ったこと。帯岩では足元の岩がツルツルで、鎖を持つ手に全体重を預ける場面もありました。メンバーの一人が足を滑らせた瞬間は、心臓が止まるかと思いました。幸い鎖を握っていたので事なきを得ましたが、「濡れた岩+疲労+夕方」の組み合わせは本当に危険です。動画にはこの緊張感がそのまま映っています。


3. タイムリミットとの戦いになる
標準コースタイム9時間前後の山なので、8時すぎに出発した私たちの場合、単純計算でも下山は17時すぎ。実際に駐車場へ戻れたのは17時26分で、下山中はずっと「日没までに鎖場を抜けられるか」という逼迫感がつきまといました。核心の鎖場を疲労ピークの夕方に通ることになったのも、元をたどれば時間の余裕のなさです。エスケープルートがほぼ無い山なので、もっと早く出発する・引き返す判断ポイントを事前に決めておくべきだったというのが反省です。
それでも高妻山に登ってよかった理由
ここまで脅すようなことばかり書きましたが、高妻山は本当にいい山でした。
霧で展望ゼロと書きましたが、霧の日にしか見えない景色があります。サルオガセがぶら下がる幻想的な森、水滴をまとったウラジロヨウラクの花、真っ白な世界に浮かぶ稜線。「展望が無い=ハズレ」ではないと教えてくれた山です。



そして何より、男3人で挑んだこと。きつい登り返しで励まし合い、鎖場では互いの足場を声で確認し合い、山頂では何も見えないのに全員で大笑いしました。一人だったら途中で心が折れていたかもしれません。仲間と登る山の良さを、これほど感じた山行はありませんでした。
私が登山にハマったきっかけは屋久島・縄文杉でしたが、高妻山は「登山を続けてきてよかった」と思わせてくれた山です。
初心者が高妻山に挑む前に準備すべきこと
正直に言うと、登山経験が数回レベルの方に高妻山はおすすめしません。まずは鎖場のない日帰りの山で経験を積むのが先です(登り始めのきつさ対策はこちらの記事にまとめています)。
その上で、挑むなら特にこの2つは準備してください。実際に鎖場と沢沿いの道を歩いて「これが無いと危ない」と痛感した順です。
1. グローブ|濡れた鎖場では命綱の次に大事
高妻山の鎖場対策で最優先はグローブです。滑滝も帯岩も、濡れた鎖を握って進む場所。素手だと握力の消耗が激しいうえ、冷えた鎖で手がかじかんで、いざという時に握り込めません。私たちも全員グローブを着けて鎖場を通過しました。
おすすめはサロモンのMERINO GLOVES(メリノグローブ)。

- メリノウール素材:濡れても保温性が落ちにくい。雨上がりの鎖場向き
- 薄手で操作性が高い:鎖の感触がわかる。着けたままスマホ操作もOK
- 軽くてかさばらない:使わない時間はポケットに入るサイズ
正直に言うと薄手なので、岩をガリガリ掴む使い方だと消耗は早めです。それでも「濡れた鎖を握り続けられる」メリットが圧倒的に勝ちます。
2. 防水の登山靴|「川を登る」と思って選んでください
高妻山の一不動側ルートは、大げさでなく沢の中を歩く区間がある山です。私たちが下山で通ったときは、前日までの雨で登山道そのものが増水した渓流のようになっていました。防水でない靴だと一発で浸水して、残りの長い時間を濡れた足で歩くことになります。
推奨は登山靴の定番、キャラバンのC1_02S(ゴアテックス)です。

- ゴアテックス搭載:沢沿い・ぬかるみでも浸水しない防水透湿素材
- 初心者向け定番モデル:迷ったらこれと言われ続けている日本ブランドの一足
- 足首までホールドするミッドカット:岩場や下りで捻挫のリスクを減らせる
サイズは厚手の登山用ソックスを履く前提で選ぶのがコツです。迷ったら普段より0.5cm大きめを。
そのほか最低限の持ち物
- レインウェア上下:霧でも体は濡れます。稜線は風が抜けると一気に冷えます
- 行動食多め:10時間行動を想定。シャリバテしたら登り返しは越えられません
- ヘッドライト:下山が日没に食い込むリスクが常にある山です。お守りではなく実用品として
鎖場や岩場での怪我のリスク管理については、登山の安全対策5つも合わせてどうぞ。
高妻山のよくある質問(FAQ)
Q. 高妻山は初心者でも登れますか?
A. 「初めての百名山」には全くおすすめしません。日帰りで9〜10時間の行動時間に加え、鎖場・トラバース・長い登り返しが揃っています。日帰り登山を数回〜十数回経験し、鎖場のある山を歩いたことがあってからが現実的です。
Q. 鎖場(滑滝・帯岩)を避けるルートはありますか?
A. 弥勒尾根新道を使えば滑滝・帯岩は通りません。私たちは登り=弥勒尾根新道・下り=一不動側の周回でしたが、雨上がりの下りで鎖場側を使うのは体験上おすすめしません。ただし弥勒尾根新道も急登の連続で、きつさの種類が変わるだけです。
Q. 山頂からの展望はどうですか?
A. 晴れれば北アルプスまで見渡せる大展望で知られていますが、私たちは霧で完全にゼロでした。それでも霧の森の幻想的な雰囲気は独特で、行く価値はあったと感じています。展望狙いなら天気予報とにらめっこしてください。
Q. トイレや水場はありますか?
A. 基本は登山口の戸隠キャンプ場で済ませてください。途中の一不動避難小屋には携帯トイレ用ブースがあるので、携帯トイレを持参すると安心です。
まとめ|高妻山は「準備した人」だけが楽しめる百名山
- 高妻山は周回約13km・行動時間9時間超の体力勝負の百名山
- きつさの本体は弥勒尾根の急登と、五地蔵山から先の登り返し。下山でも登らされる
- 雨上がりの滑滝・帯岩は危険度が別物。濡れた鎖+疲労+夕方の組み合わせは避ける
- 霧で展望ゼロでも、霧の日にしか見えない景色がある
- グローブ・防水の登山靴・ヘッドライトは必須装備。時間切れを想定した計画を
「きつい山」という噂は本当でした。でも、だからこそ登り切ったときの達成感も本物です。挑戦する方は、どうか万全の準備と時間の余裕を持って。
男3人の霧と鎖場のドキュメントは、こちらの動画でぜひ追体験してください。



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